中島詩織 スペイン滞在記「ハーフタイム」連載 No.3
こんにちは! CD Burela FSFの中島詩織です。
第3回目となる今回はガリシア地方のことではなく、特別編として、先日私も日本代表として参加した、コスタリカ開催の「第5回世界女子フットサルトーナメント」について書きたいと思います。
12月10日~16日にかけて行われたこの大会は、まだFIFA公式の大会ではないのですが、毎年12月初めに各国持ち回りで開催されています。
開催地は第1回大会から順に、スペイン、ブラジル、ポルトガル、スペインとなっており、5回目の今回はコスタリカでの開催となりました。参加国は各大会ごとに変わりますが、毎回7~9カ国が参加し、まず2グループに分かれて予選が行われ、各グループ上位2チームがトーナメント戦の準決勝、決勝を戦う形式となっています。
今回の参加チームは次の7カ国でした:
グループA:日本、ポルトガル、ロシア、ブラジル
グループB:スペイン、コスタリカ、グアテマラ
この世界女子フットサルトーナメントでは、第4回大会まではブラジルの4連覇で、今迄の上位4チームは常にブラジル、スペイン、ポルトガル、ロシアという結果となっています。
ということで、客観的に見ても今回日本はポルトガル、ロシア、ブラジルというものすごいグループに入りました。みんなからすごい運を持ってるね、と言われました(笑)。
私自身もすごいグループに入ったなと感じていましたし、とても厳しい戦いになるだろうと思っていましたが、世界の強豪と戦えるなんてめったにないことですし、すごく楽しみではありました。
日本チームの結果は、ポルトガル戦は0-4で負け、ロシア戦は3-2で勝利、ブラジル戦は0-6で敗戦し、残念ながら準決勝に進出することは出来ませんでした。
しかし、5位6位決定戦に進むことができ、グアテマラと対戦しました。結果は1-2で負けたため、参加した7チーム中6位という結果で大会を終えました。
日本代表は今まで上位4チームであるブラジル、スペイン、ポルトガル、ロシアには一度も勝てたことがありませんでした。よって今回TOP4であるロシアに初めて勝てたことは日本女子フットサル代表にとって大変大きな一歩です。試合終了後には今までのことが思い出され、自然と涙が溢れてきてしまいました。
しかし、ポルトガルやブラジルといった強豪国相手とは、まだまだ差があるということも改めて感じました。戦った感触としては、去年や一昨年よりは戦えている実感はあり、代表チームとして前進し続けていることを毎年感じています。しかし、他の強豪国も同様に前進し続けていることも常に頭に置いておかなければなりません。
そして個人的には試合の大事な時間帯に不用意なミスがあり、それが失点に繋がってしまうとうことがありました。そういったミスの怖さは十分知っているはずだったのですが、一瞬の判断ミスが勝敗に繋がる厳しさも改めて身にしみました。それはすごく辛く苦しい経験となりましたが、しっかりと受け止めて次へ繋げていきたいと思います。
日本代表として世界の国々と戦えることは常に私の喜びです。代表に選んでいただく度にいつも新鮮な気持ちになりますし、良い緊張感が自分の中に生まれます。何度代表に参加してもそれは変わりません。試合開始前にピッチに入場し、国歌斉唱するときは常に特別な感慨がありますし、今から日本代表選手として戦うのだと改めてスイッチが入ります。代表選手として戦いたいと思うことは、自チームでのモチベーションにも繋がっています。代表に選ばれるというのはすごく特別なことであり、誰にでもそのようなチャンスが与えられるわけではありません。そういった特別な舞台に立ち、戦えることにいつも感謝しています。代表選手として戦えるチャンスが与えられるのは日常自チームでチームメイトと切磋琢磨しているからであり、チームが快く送り出してくれるからだとも思っているので、チームやチームメイトにも感謝しています。
また、いつも応援してくれる家族や友達、多くの方々のお陰で日本から遠く離れているスペインのこの地で頑張れているのも事実です。スペインに来てから人の温かさを感じる場面が多くあります。
世界大会の後に、日本国内で女子フットサル日本代表として初の国際親善試合が行われました。対戦相手はチャイニーズタイペイ。私はスペインの所属チームのリーグ戦が同日に行われたために、親善試合には参加することができませんでした。出たい気持ちでいっぱいでしたが、私の中でチームの試合も大切であることに変わりはないので、チームの試合に集中しました。国際親善試合は日本代表が3-1で勝ちました。疲労はあっただろうものの、勝てたことは非常に重要だと思います。
親善試合が行われると耳にした時、とても嬉しく感慨深い気持ちになりました。ありがたいことに私は2007年に日本女子代表が初めて結成された時から招集していただいているのですが、ここまで来たんだと色々な思いが駆け巡りました。2007年第1回アジア・インドアゲームズ(アジアの公式の大会)の結成時から、代表チームは毎回毎回一歩ずつ前進してきています。それから時を経て、アジア・インドアゲームズでは3連覇を達成することができました。
ワールドトーナメントは2010年から始まり、日本代表は毎回出場することができています。少しずつ代表チームの合宿等の活動が増え、2013年には国内で強化試合が行われることになり、2014年にはついに国際親善試合が開催されました。
この試合は、私が想像することができないほどたくさんの方々のご協力のもとに開催されたものだと思います。JFAの方々やその関係者の方々はもちろんですが、今まで代表選手として戦ってきた選手たちやスタッフの方々、国内リーグを活性化してくれてきた選手たち、選手たちを応援してくださってきていただいた方々、誰が欠けても成り立つことはなかっただろうと思います。大会や親善試合を戦えたのは今回選ばれた選手たちだけですし、それはもちろん各選手たちの努力の賜物であり、その舞台に立てることは自信を持って良いことです。
ただ、今までこの基盤を作り上げてきてくれた方々には、感謝の気持ちでいっぱいです。今まで代表で戦ってきた選手たちの姿勢や気持ちを直接みて、感じ、学ばせてもらってきているので、代表として一歩前に進むことができた時は、毎回たくさんの思いが駆け巡ります。代表として最高の瞬間、時間を共にした選手とはやはり今でも良い関係があり、生涯の大切な仲間です。そのような仲間ができたことも私にとっての宝物です。
また、スペインでプレーし始めてから、スペイン人やブラジル人等の各国の友達もできました。そのような友達と戦えたり、ピッチ外では色々と話せたりすることも楽しい瞬間です。みんな上手いので敵として戦うのは嫌な時もありますが、楽しみでもあります(笑)。
日本代表選手として戦えることは私の誇りであり、そして喜び且つ普段の大きなモチベーションでもあります。毎回たくさんの経験を積ませてもらっていますし、その経験は私の人生の大きな部分を占めています。それはこれからも変わることはありません。そして、また日本代表選手として戦えるように日々努力していきたいと思います。そのためにも所属チームで努力を続け、チームの目標が達成できるように日々チームメイトと切磋琢磨していきたいと思います。代表選手として戦うことは常に私のモチベーションの中にありますが、そこで戦えるチャンスを与えて貰えるように努力できる場があることにも感謝し、日々過ごしていきたいと思います。
最後になりましたが、今回はコスタリカという日本から遠く離れた地で試合が行われたにも関わらず応援に来ていただいた方々、取材に来て下さった方々、現地の大使館や日本人学校の方々、日本から応援してくださった方々、たくさんのご声援をどうもありがとうございました。
今回のコスタリカ大会にも取材に来て下さった、ライターの海野伸明さんという方が運営するPanna Futsalというサイトには、今回の大会のことはもちろん、過去の女子日本代表のレポートや女子フットサルに関する情報がたくさんあるので是非ご覧ください。
1988年7月12日 東京生まれ。
2000年から2011年まで日本のFUNフットサルクラブLadiesの中心選手として、全日本女子フットサル選手権5連覇(2005-2009)をはじめ日本国内のタイトルを総なめにした後、スペインに渡りアトレティコ・デ・マドリード女子にてスペイン女子フットサル一部リーグに参戦を開始(2011-2012)。
同クラブにてマドリードフェデレーションカップ優勝、スペインリーグ優勝、コパ・デ・エスパーニャ準優勝を経験後、FSFリオハを経て、今シーズンからブレラFSFに所属し中心選手として活躍中。
2007年以降日本代表に選抜され、アジア・インドアゲームズに3度の優勝経験あり(2007, 2009, 2013)。
2013年からは同代表キャプテンを務める。
CD BURELA FSF 公式サイト:http://www.burelafs.org
中島詩織 スペイン滞在記「ハーフタイム」