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【マドリード発】3月31日、在スペイン日本国大使公邸において、「日本の水産物の品質勉強会」が開催され、現地の日本食レストラン関係者や料理学校関係者、ジャーナリストら約30名が参加。この勉強会の目的は、日本の水産技術の高さと冷凍・解凍技術による品質保持の重要性を伝えることにあり、将来的な水産物輸出拡大を見据えた取り組みの一環として開催された。
 
冒頭で挨拶に立った中前日本大使は、「日本のマグロを中心に、水産物の多様性とその高い品質を知っていただくための貴重な機会」と語り、勉強会への参加者を歓迎。セミナー講師として招かれた、ポルトガルにてマグロの養殖を行うTunipex社の田中氏と、日本の活締め魚をスペインに輸送・販売しているISSé JAPANのロマン氏が壇上に立ち、実演を交えての講演が行われた。
 
本イベントは、ラスパルマス港に開設されたばかりの-60度マグロ専用冷凍施設の活用を視野に、日本産水産物のヨーロッパ市場展開を後押しする動きとしても注目されている。

 
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種類と技術の違いを実演で体感
セミナーでは、日本漁船によるマグロ漁と-60度での超低温冷凍技術が他国と比較してどのように優れているかが詳細に説明された。実演では8種のマグロが提供され、それぞれ冷凍温度、解凍方法、生鮮状態の違いが味や色、食感にどう影響するかを参加者が実際に見て味わうことで理解を深めた。たとえば、スペイン産の-20度で冷凍されたキハダマグロと、日本漁船による-60度冷凍のメバチマグロとの比較では、色味、臭み、食感に明確な違いが見られた。また、店舗で購入された生マグロの鮮度管理の難しさや、業務用スーパーで販売されるマグロに使われる発色剤の実態にも触れたり、質疑応答では「ジェリーミート」と呼ばれる品質の落ちた生マグロの対処法や、塩水解凍の温度・濃度調整のコツなど、実践的な知識の共有もなされた。


 

 
活締め技術の紹介と試食会
セミナー後半には、Issejapanのロマン氏によってブリとマダイを用いた日本独自の「活締め」技術が紹介され、鮮度を保ったままスペインに輸送される仕組みについて説明が行われた。続く試食会では、参加者が刺身やステーキとして調理された各種マグロを味わい、冷凍と生、それぞれの良さと課題を実感した。

 

Tunipex社
ポルトガル南部アルガルベ地方最大の漁港であるオリャオン市に1994年に設立されたチュニペックス社は、ポルトガル政府によって同国沿岸での定置網漁業実施を認められた企業として、日本の資材と技術をベースにクロマグロや他鮮魚の漁獲などを行っている。チュニペックス社の定置網で捕獲される天然/蓄養のクロマグロは、充実した設備と最先端の鮮度維持技術により最高ランクの品質としてお客様へ届けられている。
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ISSé JAPAN
日本の魚や本わさび、日本酒、お酢などの日本食材を世界中に流通させるだけにとどまらず、その食材の正しい使い方、魚の捌き方・保存方法など、ワークショップを通じて正しい日本食材の知識を広めている。
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