「マドリード国際映画祭2019」にて日本映画が数々の賞を受賞
スペイン・マドリードにて毎年開催されている「マドリード国際映画祭 (Madrid International Film Festival)」。
8月9日~17日まで開催された同映画祭の最終日に授賞式が行われ、外国語短編映画部門にて『桜の咲く頃 交わした約束は、(空下慎監督)』がノミネート21作品の中からみごと最優秀短編映画賞を受賞。そして『世界から希望が消えたなら。(赤羽博監督)』が外国語長編映画部門にて最優秀監督賞受賞、さらに『ひとくず (上西雄大監督)』出演の古川藍と徳竹未夏が最優秀助演女優賞をダブル受賞する快挙を成し遂げた。
近年における同映画祭での日本映画の受賞歴は、2016年「さようなら (深田晃司監督)」がディアス・デ・シネ最優秀作品賞受賞、「TOOMODACHI (ジャッキー・ウー監督)」が最優秀外国語映画賞と最優秀映画音楽作曲賞を受賞、同じく2016年狂言師の和泉元彌主演「さつまおごじょ (柿崎ゆうじ監督)」が外国映画短編部門で最優秀作品賞を受賞、2017年は「キセキの葉書 (ジャッキー・ウー監督)」が外国語映画部門 最優秀監督賞と主演の鈴木紗理奈が最優秀外国映画主演女優賞を受賞、昨年2018年には「ウスケボーイズ (柿崎ゆうじ監督)」が最優秀作品賞を受賞、そして主演の渡辺大が最優秀主演男優賞を受賞しダブル受賞に輝いている。
以下、2019年度マドリード国際映画祭での日本映画受賞作品情報。
『桜が咲く頃 交わした約束は、』
外国語短編映画部門:最優秀短編映画賞
兵庫県豊岡市の美しい風景を舞台に展開される20分の短編恋愛映画『桜の咲く頃 交わした約束は、』は、空下監督がずっと温めていた脚本と、シンガー・ソングライターの松田真将の楽曲 “桜が咲く頃、交わした約束。” の世界観があまりに一致していることに感銘を受けた監督が、映画制作を決意しプロジェクトメンバーをいちから集め、クラウドファンディングで資金を集め、撮影地の方々の大きな協力を得て完成された。映像の綺麗さにこだわった映像美は、写真集を切り取ったような映画のワンシーンが目に焼きつくように色鮮やかである。
画像:公式Facebookより引用
Youtube:空下慎 / 短編映画「桜が咲く頃 交わした約束は、」予告
地方で育った幼なじみのユズキ、タカシ、ハルキの男女3人の青春物語。1年後に故郷での再会を約束し、夢を追いかけるため都会に出たユズキと、地元に残ったハルキとの悲しいロマンスを描く。
監督・脚本・編集:空下慎
出演:小西悠加 / 庄大地 / 近藤有磨
2018年 / 20分 / 公式サイト / Facebook / Twitter
『世界から希望が消えたなら。』
外国語長編映画部門:最優秀監督賞
10月18日に日本での公開を控える映画「世界から希望が消えたなら。」が、外国語長編映画部門ノミネート20作品の中から最優秀監督賞を受賞。同映画はこれまでに、スペイン・バルセロナ国際映画祭やアメリカのインディ・ビジョンズ映画祭など、世界3ヶ国で通算6つの映画祭で受賞している。仕事の重圧、家族とのすれ違い、そして病気ーーほとんどの人が乗り越えられない「中年期の絶望」。その苦しみから蟻のような微力で這い出し、自らの使命に目覚め、世界の人々のために命をかける “本当のヒーロー” の姿を見事に描き切った本作。
Youtube:HS Movies / 映画『世界から希望が消えたなら。』予告編【2019年10月18日ロードショー】
ベストセラー作家であり、自ら出版社を経営している御祖真。妻や3人の子供にも恵まれ充実した日々を過ごしていた彼には、誰にも言えない “秘密” があった。そんなある日、帰宅途中に胸の苦しみを感じた真は、外の空気を吸うために送迎車から降り庭園を散歩する。そこでは結婚式が行われていた。娘の将来の花嫁姿を思い浮かべた矢先、激しい心臓発作に襲われその場に倒れてしまう。意識を失いかけた真の手には、トルストイ著「復活」が握られていた。緊急搬送された病院で医師から告げられたのは、無常にも “死の宣告” だった…。
監督:赤羽博
出演:竹内久顕 / 千眼美子 / さとう珠緒
公式サイト / Twitter
『ひとくず』
最優秀助演女優賞:古川藍、徳竹未夏
「少女を地獄から救ったのは人間のくずだった」
厚生労働省によると、2016年度における児童虐待相談の件数は12万2578件であり、26年連続で増加している。ネグレクトや暴力を受ける少女の家庭に「無法者」が介入するこの映画がきっかけとなり、閉ざされた世界で苦しんでいる子供に目が向けば、「自分に何ができるだろう」と考えるきっかけを作れたら、との願いから制作された。
@mika2469より引用
Youtube:10 ants / 映画「ひとくず」予告編
生まれてからずっと虐待の日々が続く少女・鞠。食べる物もなく、電気もガスも止められている家に置き去りにされた麴のもとへ、犯罪を重ねる破綻者の男・金田が空き巣に入る。幼い頃に虐待を受けていた金田は、鞠の姿に自分を重ね、社会から外れた方法で彼女を救おうと動き出す。そして、鞠の母である凛の恋人から鞠が虐待を受けていることを知る。虐待されつつも母親を愛する鞠。鞠が虐待されていると確信した担任教諭は、児童相談所職員を連れてやって来るが、鞠は母の元を離れようとせず、保護することができずにいた。金田には鞠を掬うため虐待をする凛の恋人を殺してしまう。凛に力ずくで母親にさせようとする金田。しかし、凛もまた虐待の過去を持ち、子供の愛し方が分からないでいた。そんな3人が不器用ながらも共に暮らし「家族」の暖かさを感じ、本物の「家族」へと近づいていく…。
監督・脚本・主演:上西雄大
出演:小南希良梨 / 古川藍 / 徳竹未夏
Madrid International Film Festival
開催期間:2019年8月9日〜17日
Film Fest International運営チームにより開催される映画祭のひとつ。マドリードの他にロンドン、ニース、アムステルダム、ミラノ、ベルリンでも開催されている。
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画像元
「桜が咲く頃 交わした約束は、」文中:公式Facebookより引用 / 「ひとくず」文中:徳竹未夏Twitterより引用