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6月7,8日の両日、マドリードにて日本食材のプロモーションを目的とした複数のイベントが開催された。
 
7日夜、マドリード郊外のデ・ラ・キンタ・デル・パルド宮殿に於いて『京都の伝統野菜』の紹介を目的とした晩餐会が催され、日西両政府やJA京都の代表者らを中心として日西両国から約250名が参加したこの晩餐会では、京都より享保元年創業の京懐石「美濃吉 竹茂楼」の佐竹洋治調理総支配人が率いる調理人たちが、日本から取り寄せた京野菜を主役としたコース料理を提供し、参加者は日本とスペインの食材の融合に舌鼓を打った。
 
今晩餐会で紹介された京野菜は、正円形で深い味わいが特徴の「賀茂なす」やとうがらしの王様と言われる「万願寺甘とう」、京野菜の代表格である「京みず菜」や「九条ねぎ」、1800年代に出来た「京壬生菜」、京都府で作られる高級茶「宇治茶」、そして京都産の酒米を使用した日本酒「月桂冠 大吟醸 京しぼり」など。京都の伝統野菜をふんだんに使用した京懐石がスペインで供されるのは今回が初となる。


 

 
翌8日には、マドリード市内のレストランにて、現地の和食料理人やインポーターたちを招き日本食材に関するセミナー『Taste of Japan』が開催され、JETROマドリード事務所の加藤辰也所長より「海外における日本産食材サポーター店認定制度」のプレゼンテーションが行われた。
日本産食材サポーター店認定制度とは、日本産の農林水産物・食品の海外発信を強化するため、「海外における日本産食材サポーター店の認定に関するガイドライン」に従い、国外にある日本産食材・酒類を使用しているレストラン・酒専門店、日本食材・酒類を取り扱う小売店を「日本産食材サポーター店」として認定する制度。
2019年4月時点で世界の4,000店以上がこの認定を受けており、欧州ではフランス174店、イタリア60店の実績がある他、スペインでも現在までに約20店が同認定を受けている。当日、今回新たにこの認定を受けた在マドリードの2店に対する認定証の授与式も行われた。
 
日本産食材サポーター店になると次のようなメリットが期待できる。
- ブランディング
 日本産の良質で、安心・安全な食材を販売・活用していることを訴求できる。
- 食材の情報
 日本産食材の流通ネットワークと交流、情報交換により良質な食材を確保できる。
- PR効果
 農林水産省のWebサイト「Taste of Japan」や各種広報媒体で店舗のPRができる。
 
在スペインの和食料理人他を対象とした和食セミナーでは、京懐石「美濃吉 竹茂楼」佐竹洋治シェフとそのグループにより、京野菜を日本の魚ブリと合わせた一品や賀茂なすと和牛の料理、京野菜と鯛の炊き込みご飯などが供され、参加した現地の和食シェフらとの間でその調理方法等に関して活発な質疑応答が行われていた。


 

 
今年2月の日本と欧州連合 (EU) の経済連携協定 (EPA) 発効により、日本食材の欧州への輸入がより容易になったと言える。これらのプロモーション活動とEPAの後押しにより、スペインをはじめとした欧州の飲食店が、より積極的に日本発の食材を使用するようになることを願いたい。

京懐石「美濃吉」:調理長・小林正、調理総支配人・佐竹洋治、副調理長・吉井雅信

左より:京懐石「美濃吉」調理長・小林正、調理総支配人・佐竹洋治、副調理長・吉井雅信