【終了】Crazy Planet「習合のファンタジー:日本メディア芸術の一断面」
1月20日から31日まで、マドリードの文化複合施設マタデロ・マドリードにて、文化庁メディア芸術祭企画展「習合のファンタジー:日本メディア芸術の一断面」(Crazy Planet: Ghosts, Folk Monsters, and Aliens in Manga – An aspect of Japanese Media Arts–)が開催される。
文化庁が主催し、一般財団法人 NHKインターナショナルが企画・運営、マタデロ・マドリードと国際交流基金マドリード日本文化センターが共催するこのイベントでは、古来から現代に受け継がれる日本独自の「異次元が交錯する世界」がマンガ作品を通して紹介されている。
展示会場の導入部では、異次元の世界が交錯する日常が描かれた日本マンガのマスターピースを、そして中央部では現代を代表する作家による作品の大型ビジュアル展示を鑑賞することができる。
さらに最終ゾーンでは、大型スクリーンに映し出される アニメーションや原画、そしてキャラクター達のオブジェが展示壁面や空間に溢れ、漫画家・ひらのりょうの世界が再現されている。
展示作品
マンガ、アニメーション、インスタレーションから成る、ひらのりょうの世界
[2013短編アニメーション20分] 上映・原画・インスタレーション
宇宙に浮かぶ霊園、日本のどこかの町、アジアのジャングル、洞窟、カフェ。めまぐるしく入れ替わっていく舞台に登場する、若い男と鼻を怪我したクマ、日本兵、歯、そして裸の女…。脈絡のないシークエンスが積み重なっていき、私たちは不連続なナラティブに惑う一方で、筆致や息づかい、そして風景に、強い懐かしさを覚えます。
ホリディ
[2011短編アニメーション14分16秒 第15回アニメーション部門審査委員会推薦作品]上映・原画・インスタレーション
耳に姿を変えてしまう女の子、黄色い姿の裸の男、猫と人間のように歩くイモリ。水が流れる、水を飲む、雨が空から降る、湖に波が寄せるなど水の循環を縦軸に、思慕を寄せる女性との間に起こる憧れの感情、緊張、衝突などを横軸に、時空を切り貼りした描写は、鑑賞者を不可解でありながらも忘れ難い共感へと誘います。
ファンタスティック ワールド
[2014 オンラインコミック 第18回マンガ部門審査委員会推薦作品]
地球空洞説を下敷きにしたウェブ漫画(連載中)。地中世界に取り残された地上世界の人間「ビコ」と親友の「歯ちゃん」が様々なキャラクターや出来事に出会っていく冒険物語。人物造形の奇想天外さに驚かされつつも、友情や勝利といった古典的なストーリーテリングに思わず引き込まれる、王道と最先端を同時に感じさせる作品です。
とびだせ!ミラーボールちゃん
[2015 GIFマンガ] タブレット・西語版冊子閲覧
地球空洞説を下敷きにしたウェブ漫画(連載中)。
地中世界に取り残された地上世界の人間「ビコ」と親友の「歯ちゃん」が様々なキャラクターや出来事に出会っていく冒険物語。
「うる星やつら」から現代まで、複数の文化や時空間が交錯する作品群
高橋 留美子
[1978~1987(週間少年サンデー)コミック]複製原画
日本を代表する人気漫画家、高橋留美子の初連載作品である『うる星やつら』には、宇宙人はもちろん、幽霊、民話の登場人物、土俗の神様などあらゆる位相に属するキャラクターが登場する。彼らの織りなすコメディーは軽妙で斬新であり、その後数々の漫画、アニメーション、小説などに影響を与えている。
夜の魚
吾妻 ひでお
[1992 コミック]複製原画
『夜の魚』はカルト的人気を誇る作家、吾妻ひでおの私小説的作品。
主人公の友人や、町ですれ違う人々は、動物とも虫とも妖怪ともとれるような異形のものとして描かれている。
そんな日常は、作者の荒廃した精神状況のメタファーであるとともに、さまざまな視覚情報が入り乱れた日本の街の姿と、そこに暮らす人々のメンタリティを表象しているとも言える。
ナンバーファイブ 吾
松本 大洋
[2000~2005 (月刊IKKI)コミック
第7回マンガ部門審査委員会推薦作品]複製原画
約7割が砂漠となった、遠い未来の地球が舞台。
人工的に作り出された生命体で構成された軍隊「平和隊」の幹部9人を中心に据えた、命と愛情をめぐる人間ドラマ。
『第七女子会彷徨』
つばな
[2008〜連載中 (月刊COMICリュウ)コミック
第17回マンガ部門審査委員会推薦作品]複製原画
亡くなったクラスメイトが “デジタル天国” に生きていたり、入学と同時に友達を学校に決められてしまったりする、普通の世界とは異なる奇妙な世界で暮らす、ごく普通の女子高生「金やん」と「高木さん」を描いた作品。
『虫と歌』より『日下兄弟』
市川 春子
[2009 (アフタヌーン)コミック
第14回マンガ部門審査委員会推薦作品]複製原画
虫、植物、海の生物、金属部品など、私たちの通常の概念とは違う命の形を持った家族との生活とコミュニケーション、そして愛と別離が描かれている。
『日下兄妹』は、高校 生の雪輝のもとに現れたタンスの部品が徐々に成長し、ついに妹のようになる話である。
『僕は問題ありません』より『線路と家』
宮崎 夏次系
[2012~2013 (モーニング・ツー)コミック]複製原画
この作品には宇宙人も幽霊も妖怪も登場しませんが、コピーを繰り返して破綻したような絵柄、話の筋と関係なく唐突に挿入される情景や物体から、登場人物たちが果たして私たちの通常認識している人間なのか、またこれが現代なのか未来なのか、舞台は地球なのか分からなくなるような、狂った感覚を覚える。
ここで示されているのはキャラクターのレベルの混交ではなく、視覚情報レベルの混交であり、それは世界中で共有されるポストインターネット現象の一環であるかもしれない。
文化庁メディア芸術祭企画展「習合のファンタジー:日本メディア芸術の一断面」
入場無料
会場:MATADERO MADRID, Nave 16
住所:Plaza de Legazpi, 8, 28045, Madrid
日時:2016年1月20日(水) ~1月31日(日)
平日 16:00~21:00、土日 11:00~21:00
※ 月曜休館
オープニング:1月20日(水) 19:00~
WEB:http://jmaf-promote.jp/
主催:文化庁
共催:マタデロ・マドリード、国際交流基金マドリード日本文化センター
後援:在スペイン日本大使館
関連イべント
トークファンタジーはどこからくるのか? ひらのりょうと語る、インスピレーションの源泉
出演:ひらのりょう(出展アーティスト) ほか
モデレーター:金澤韻(企画ディレクター)
日時:1月23日(土) 17:00~
会場:Taller, MATADERO
出品作家ひらのりょうがオンラインで登場。本展キュレーターの金澤韻がモデレーターとなり、本展示を日本の視点 と外からの二つの視点から論じます。日本のマンガや文学に精通したスペイン人研究者2名を交え、ひらの作品のインスピレーションの源泉となった日本社会・文化の独自性、特異性についてディスカッションします。
文化庁メディア芸術祭受賞作品上映
日時:1月23日 (土) 19:30~
会場:Taller, MATADERO
上映プログラム:Portrait of Japanese Animation-日本の映像描写
共催イベント
国際交流基金メディアアートカンファレンス
【クロッシング・ポイント ー 日本のメディアアート / ゲーム / ポピュラー文化】
登壇者:吉田 寛(立命館大学教授)、大久保 美紀(パリ第8大学造形技術学部講師)
日時:1月26日(火) 16:00~
会場:Medialab-Prado (Plaza de las Letras. C/ Alameda, 15, 28014 Madrid, 電話912 191 157)
文化庁メディア芸術祭 受賞作品上映
日時:1月26日(火) 18:30~
会場:Medialab-Prado (Plaza de las Letras. C/ Alameda, 15, 28014 Madrid, 電話912 191 157)
上映プログラム:”Beyond the Technology”、”Entertainment & Animation Selection 2015″