【終了】「Guardianes」むらかみみか作品展示会 in ビルバオ・アルテ
日本人アーティストむらかみみかによる「Guardianes（守護者たち）」が、ビルバオ・アルテ主催の展示会で今年の最後を飾る。
ビルバオ・アルテでは、今年7番目そして最後となる主催展示会を11月21日まで開催する。
展示会の主役となるのは、2013年のアーティスト・イン・レジデンスに参加する日本人アーティストのむらかみみか。彼女のプロジェクト「Guardianes（守護者たち）」は、2013年奨学金制度の対象となった26人のアーティストの中から、ビルバオ・アルテの展示室で個展を開催するための7つの企画のひとつに選ばれ、Jesús Pueyo、Naia del Castillo、Carla Andrade、Juan Pablo Ordúñez、Hélène Duboc、そしてEriz Morenoに続き本展示会が開催される。
むらかみの、彫刻、インスタレーション、レンチキュラー印刷、マイクロ印刷などを用いて妖精たちを表現した作品群は、見る者に作品を注意深く観察することを要求する。遠くから短時間見るだけでは、本展示会に隠された魅力を見失うことになるだろう。
「Guardianes」の企画は、様々な国々の文化において今日まで伝わる慣習から端を発した。多くの神話に見られる妖精の存在は、日本の伝説にも度々登場する。いたずら好きだが憎めない性格の、家の守り神である。彼らは、むらかみみかが制作した様々な作品群の中にも姿を現す。彼女の展示会では、守護者たちは常にその姿を我々に見せてくれる。
本プロジェクトでは、木材、ブロンズ、鉄、アラバスター、ポリエステル樹脂が使用され、椅子、時計やカップなどを集めて作品が制作された。いくつかの作品には仕掛けが施されていて、従来の鑑賞から一歩進み、観客の参加を促す。少し近づいて見ると、妖精の瞳の奥に隠れているものを発見できる場合もある。また、例えばレンチキュラー印刷を使った画像のインスタレーションでは、おどけた妖精たちの動く姿を捉えるために観客自身も動きながら鑑賞しよう。
「作品の中には、おもちゃのように面白みがあり工夫が凝らされていて、少し変わった方法で接する必要があるものもあります。作品に触ったり、目を凝らして見たりしてください。観客の方々に参加してもらい、ひとつの作品を新しい視点で見て、隠されているものを発見してほしいです。こんなふうに、私たちの頭の中で起こっているのと同じように、意識と無意識を混ぜ合わせるのが好きです。」と、むらかみみかは語る。
作品の妖精には、彼女が日本で持っている古い白黒写真からインスピレーションを受けたものもある。
「その写真には、ふたりの子供が写っているのですが、居間におもちゃを散らかして、カメラに向かって微笑んでいます。この写真を見て、日本で伝えられる家の妖精、座敷童の話を思い出しました。妖精はいたずら好きでうるさいのですが、家の仕事を手伝ってくれることもあります。日本の言い伝えでは、妖精がいなくなると家が没落すると言われています。」
むらかみみかは、アーティストの慣習を踏まえながらも、最近の制作活動では微細で魔法のような現実世界の彩りを表現することに力を入れている。
むらかみ みか
東京の女子美術短期大学絵画科にて学んだ後、グラナダ大学で美術を専攻した。現在はグラナダ大学美術学部彫刻科にて博士論文に取り組んでいる。今までにスペインコンテンポラリー版画美術館（マルベージャ）、メノルカ・シルビニア国際版画センター（メノルカ）、佐喜眞美術館（沖縄）などで展示を行った経験を持つ。2012年には、初の開催となった2012年チャチャク・グラフィックアート国際ビエンナーレ（セルビア共和国・チャチャク）、赤大理石コンテンポラリー・スカルプチャー・シンポジウム（イタリア・サッセッタ）にて彼女の作品が選ばれた。
「Guardianes」むらかみみか作品展示会 in ビルバオ・アルテ
日時：2014年11月21日（金）まで
場所：Fundación Bilbao Arte
住所：Urazurrutia, 32. 48003 Bilbao
開館時間：月～金曜日 17:30〜20:30
土曜日 11:00〜14:00
入場無料
ビルバオ・アルテ公式サイト：http://www.bilbaoarte.org
