マタデロ・マドリード:企画展「習合のファンタジー:日本メディア芸術の一断面」
高橋留美子『うる星やつら』(1978—1987)は、宇宙人、妖怪、土俗の神々、時間旅行者、幽霊、民話の中の人物が日本の平凡な町の高校生である主人公の恋の相手役として次々と登場するコメディだ。1970年代社会変革への不信と幻滅から生まれたとも言われるこの奇想天外なSF作品は、中国文化から近代における西洋文化、戦後のアメリカ文化、大量消費社会文化のそれぞれの影響を受け、過度に混交した日本の表象世界を表す、よいサンプルとなっている。この作品はその後、日本の漫画、アニメ、ライトノベル等のカルチャーに大きな影響を与えた。
本展はそのような異次元が交錯する日常を描いた一群からいくつかの作品を紹介し、日本における視覚芸術の一断面を紹介する。また最新の例であるひらのりょう作品を大きく取り上げ、現代のインスピレーションの一端を繙く。私たちのネット接続された現代世界では、このようなイメージの混交はどの国にあっても親近感を覚えるものになっているかもしれない。
本展示会企画ディレクター 金澤 韻
金澤 韻(かなざわ・こだま:インディペンデント・キュレイター)
マンガ、ニューメディアアートを含む日本と世界の現代美術を扱い、国内外で現代美術館のキュレーティングを行う。
東京藝術大学大学院修了後、熊本市現代美術館(2001~2006)、川崎市市民ミュージアム(2006~2013)を経て、2013年9月よりロンドン、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートでキュレーティング・コンテンポラリー・アート専攻。主担当として携わった展覧会に「スパイラル 30周年記念事業展覧会 スペクトラム ―いまを見つめ未来を探す」(コキュレーター、スパイラル、東京、2015)、「YŪICHI YOKOYAMA : Wandering Through Maps」(Pavillon Blanc、コロミエ、2014)など。共著に『マンガとミュージアムが出会うとき』(2009、臨川書店)。
文化庁メディア芸術祭企画展「習合のファンタジー:日本メディア芸術の一断面」は、マタデロ・マドリードにて、2016年1月31日まで開催中。
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文化庁メディア芸術祭企画展「習合のファンタジー:日本メディア芸術の一断面」
入場無料
会場:MATADERO MADRID, Nave 16
住所:Plaza de Legazpi, 8, 28045, Madrid
日時:2016年1月20日(水) ~1月31日(日)
平日 16:00~21:00、土日 11:00~21:00
※ 月曜休館
WEB:http://jmaf-promote.jp/
主催:文化庁
共催:マタデロ・マドリード、国際交流基金マドリード日本文化センター
後援:在スペイン日本大使館