【終了】9月より諸橋近代美術館にて『ダリの挿絵版画展』
絵を読む、物語を見る
20世紀を代表するスペイン人芸術家サルバドール・ダリ (Salvador Dalí / 1904-1989) 作品約340点を収蔵し、ダリ・コレクションにおいて国内最大級の諸橋近代美術館にて、物語の挿絵として制作した “挿絵版画” を一堂に展示するテーマ展『ダリの挿絵版画』が9月11日から11月30日まで開催される。
スペイン人小説家ミゲル・デ・セルバンテスの「ドン・キホーテ」や、イタリアの詩人ダンテ・アリギエーリの「神曲」など、誰もが耳にしたことのある世界の名作文学を、ダリは挿絵版画で大胆に表現した。
展示会を第1章から3章にテーマを分け、物語の引用文を紹介しながら版画作品を分かりやすく解説。さらにダリが挑戦した特殊な版画の制作方法や刷りの工程を紹介。
また、会期中の9月17日(日) 9:30〜17:30には、美術館敷地内にてパエリア1,000食が無料提供され、美術館鑑賞も無料となるイベント《ダリの国!情熱のスペインパーティー 〜ダリと食のおいしい関係〜》が開催される。
その他にも、9月24日(日) 14:00〜14:45からは、美術館の学芸員による《スペシャルギャラリートーク 〜ダリの紡ぐ物語〜》、さらに10月21日(土) 14:00〜15:30には、特別講演会《美術展の仕掛け人 〜2016年「ダリ展」を巡って〜》が裏磐梯ロイヤルホテルにて開催される (※美術館HPまたは往復ハガキにて応募)。
第1章『ドン・キホーテ』と銃弾主義
第1章では、風車を巨人と思い込んで突撃してしまう狂人的な主人公ドン・キホーテの物語を「銃弾主義」によって表現した挿絵版画 全12点を紹介。
1957年、サルバドール・ダリが放った一発の銃弾は、新たな芸術を生み出した。火縄銃に装填されたインク入りの弾丸は石板の上で炸裂し、鮮やかな飛沫が現れた。
後に自著『天才の日記』において、この技法を《銃弾主義 (ブールティスム)》と名付けた。ダリはこの技法を用いて次々と弾丸を石板の上に炸裂させ、『ドン・キホーテ』の挿絵版画を制作した。
第2章『カルメン』
第2章では、ダリがオペラ『カルメン』の印象をそのままに描いた全25点の版画を紹介。
ジョルジョ・ビゼー (1838-1875) 作曲のオペラ『カルメン』。フランスの作家プロスペル・メリメ (1803-1870) が1845年に著した『カルメン』を題材に、ビゼーがオペラを作曲し、世界的な成功を収めると、情熱的で移り気な魔性の女カルメンと、彼女に翻弄され人生を狂わせていくドン・ホセの物語に、ダリも魅せられた。
第3章『神曲』
第3章では、ダリが制作した『神曲』の挿絵の傑作を地獄篇、煉獄篇、天国篇の3部に分けて紹介。
イタリアの詩人ダンテ・アリギエーリ (1265-1321) が著した『神曲』は、地獄篇34歌、煉獄篇33歌、天国篇33歌の3部全100歌から成る長叙事詩。
キリスト教的世界観を体現した文学として高く評価されており、後世の文学のみならず政治思想や美術に至るまで多大な影響を与えた。
ボッティチェリやミケランジェロ、ロダンといった先人の美の巨匠たちの作品にも『神曲』の世界が登場する。ダリもまた、『神曲』の世界を描いた芸術家の一人である。
1950年、ダリはイタリア政府の依頼で、イタリアが誇る世界的文学作品『神曲』の挿絵の制作を開始。「ダンテの地獄は地中海の太陽と蜜で明るく輝きわたっている (ダリ『天才の日記』より)」と語るダリが表現した「地獄」の世界は、その言葉に違わず、かつて『神曲』に登場する「地獄」を描いたどの芸術家の作品よりも明るく描かれていた。
同時開催:コレクション展《シュルレアリスムとダリ》
シュルレアリスム (超現実主義) とは、1924年に詩人アンドレ・ブルトン (1896-1966) の「シュルレアリスム宣言」発表によって始動した20世紀最大の芸術思想運動。幻想や夢、偶然性を鍵に無意識と非合理の世界をあらゆる手法で探求し、意外性と驚異に満ちた新たな表現を生み出した。スペイン出身の芸術家サルバドール・ダリもこの運動に合流し、現在はシュルレアリスムの代表格として認知されている。
今コレクション展では、美術館所蔵の西洋近代およびダリ・コレクションを通じて、シュルレアリスムの発端と展開を紹介する。
諸橋近代美術館
福島県北部の裏磐梯・五色沼近くに位置する諸橋近代美術館は、ゼビオ株式会社創立者、諸橋廷蔵 (1934-2003) 氏が約10年に渡り収集した美術作品を「広く多くの方に鑑賞して感動していただいたい」という思いから、故郷である福島県会津磐梯高原に開館。
諸橋氏は、ダリをはじめ西洋近代美術の調査、研究に取り組み、自らの手で作品の蒐集も始める。それら蒐集作品群は、ダリの絵画・彫刻・版画作品など約330点、印象派からシュルレアリスム期までの絵画作品約40点と、ダリのコレクションにおいては、アメリカ・フロリダ州のダリ美術館、スペイン・フィゲラスのダリ劇場美術館に次ぐ規模であり、アジアで唯一のダリ常設美術館となっている。ダリ作品の蒐集活動は、諸橋氏の遺志を受け継ぎながら、現在も継続されている。
美術館の作品構成はダリがメインとなっているが、ダリ以外にもルノワール、マチス、ピカソ、シャガール等19・20世紀巨匠20数人の作品を収蔵。
(諸橋近代美術館公式サイトより一部抜粋)
Youtube:MorohashiMuseum / Morohashi museum of modern art 諸橋近代美術館
開催期間:2017年9月11日(月) 〜11月30日(木) 会期中無休
開館時間:9:30〜17:30 ※11月は17:00まで ※入館は閉館30分前まで
会場:諸橋近代美術館
住所:〒969-2701 福島県北塩原村大字桧原字剣ヶ峯1093-23
福島県裏磐梯の磐梯朝日国立公園内
観覧料:一般950円 / 高校・大学生 500円 / 中学生以下 無料
※ 20名以上の団体料金 各50円引き
※ 教育施設対象の観覧料免除制度あり (事前申し込み)
公益財団法人 諸橋近代美術館
公式サイト / Facebook / Twitter / Youtube