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9月14日から12月12日まで、国立新美術館にて『ダリ展』が開催されている。
 
20世紀美術を代表する芸術家として幅広い世代に人気のあるサルバドール・ダリ。
1929年にパリで彗星のようにデビューを飾って以来、シュルレアリスムを代表する画家として、また現代アーティストの先駆けとして、今日でも全世界の多くの人々を魅了して止まないダリ。
 
日本では約10年振りとなるこの回顧展は、ガラ=サルバドール・ダリ財団 (スペイン)、サルバドール・ダリ美術館 (アメリカ)、国立ソフィア王妃芸術センター (スペイン)の世界の3つの重要なダリ・コレクションからの出品に加え、日本国内に存在する主要作品が揃い、油彩のほかドローイング、オブジェ、ジュエリー、書籍、映像など約250点の多様な作品で構成され、日本で開催されたダリ展としては、過去最大規模の展示会となっている。
 

 
『ダリ展』は8つのチャプターから構成されている。

 
CHAPTER1:初期作品 (1904-1922)
1904年5月11日、サルバドール・ダリは、スペイン、カタルーニャ地方のフランス国境に近い町フィゲラスで、芸術や文化に造詣が深く自由な気風の家庭に生まれた。少年時代から絵画の才能を賞賛され、フィゲラスや夏の休暇を過ごした漁村カダケスの風景をポスト印象主義風の様式で描いている。
 
CHAPTER 2:モダニズムの探求 (1922-1929)
ダリは1922年にマドリードのサン・フェルナンド王立美術アカデミーに入学するも、そこでの教育に飽き足らず、反抗的な学生であった。学生寮で、後に映画監督となるルイス・ブニュエルや後の詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカと交友を結ぶこととなる。
この頃、キュビスム、ピュリスム、未来派などの新しい芸術の影響を受けた作品を制作。
 
CHAPTER 3:シュルレアリスム時代 (1929-1938)
1929年、ブニュエルと共同で脚本を執筆した映画「アンダルシアの犬」がパリで公開され、大きな反響を呼ぶ。アンドレ・ブルトンを中心とするパリのシュルレアリスト・グループに参加し、パラノイア的=批判的方法を生み出し、シュルレアリスムの中心的な画家として活躍するも、ブルトンとの不和も芽生え始める。
 
CHAPTER 4:ミューズとしてのガラ
1929年夏に詩人ポール・エリュアールの妻ガラと出会い、すぐに恋に落ちる。以後ガラは常にダリに寄り添い、ミューズとしてダリの芸術に霊感を与えるとともに、一種のプロデューサーとしてダリを支援し、成功に導くこととなる。
 
CHAPTER 5:アメリカへの亡命 (1939-1948)
第二次世界大戦が勃発すると、ダリとガラは戦火のヨーロッパを後に、アメリカへ亡命し、1948年まで過ごすこととなる。1934年以降、アメリカで何度か展覧会を行っていたダリは、すでに有名画家であったが、商業的な仕事や出版を通じて、シュルレアリスムを体現する名士としての地位を確立。
 
CHAPTER 6:ダリ的世界の拡張
アメリカ滞在中に、ダリは舞台芸術や映画などの美術の仕事を多く行い、ヒッチコック、ディズニー、マルクス兄弟などにも協力している。
また、ファッションや宝飾の仕事にも手を染め、ダリの芸術から派生したイメージは大衆的な人気を博した。
 
CHAPTER 7:原子力時代の芸術 (1945-1950s)
1945年、ダリは広島と長崎への原爆投下に大きな衝撃を受ける。
そして新しい原子物理学の知見と宗教的な神秘主義を結びつけることで、核時代の到来によって決定的に変質してしまった新しい世界における、芸術のあり方を探ろうとする。
 
CHAPTER 8:ポルト・リガトへの帰還 ー 晩年の作品 (1950-1980s)
1948年、アメリカから戻ったダリとガラは、カダケス近くの小さな漁村ポルト・リガトに居を定める。1960年代以降は古典芸術に回帰し、巨匠たちに触発された作品を描くとともに、ダリ芸術の様々な要素を集大成した《テトゥアンの大会戦》のような一連の大作絵画を次々と制作する。1974年にはフィゲラスに、心血を注いで作り上げたダリ劇場美術館も開館した。

 

 

 
Sep2016_DaliTokio_img1『子ども、女への壮大な記念碑』1929年
 
時間の経過による物体の腐敗に関心を抱いていたダリは、映画「アンダルシアの犬」(1929年)で、腐ったロバを登場させた。
1929年から30年にかけて、ダリは絵画作品でもこの腐敗のイメージを積極的に描いた。
本作品では、人間の頭部や手、ナポレオン、モナリザなど、様々なものが朽ち果てるかのように溶け合った巨大な塔が圧倒的な存在感を示している。
また、画面右上ではダリにとっての恐怖の対象であるライオンが牙をむいている。

 
140.0 × 81.0 cm カンヴァスに油彩、コラージュ 国立ソフィア王妃芸術センター蔵
Collection of the Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía, Madrid
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.

 

 
Sep2016_DaliTokio_img2『ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌』1945年
 
広島と長崎に原爆が投下されたことを知ったダリは大きな衝撃を受け、本作を制作した。
画面中央には、爆弾を落とす戦闘機が首を左斜めに傾けた人間の頭部の形態の中に描かれている。それは、アメリカを象徴する野球選手たちと画面右端の爆発のイメージと組み合わされることで、広島に原爆を投下した爆撃機エノラゲイを観る者に想像させる。
黒を基調とした画面には、原爆がもたらす恐怖によって支配される陰鬱な世界が広がっている。

 
66.5 × 86.5cm カンヴァスに油彩 国立ソフィア王妃芸術センター蔵
Collection of the Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía, Madrid
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.

 

 
Sep2016_DaliTokio_img3『炸裂する柔らかい時計』1954年
 
12.7 × 17.1cm 紙にインク、鉛筆 サルバドール・ダリ美術館蔵
Collection of the Salvador Dalí Museum, St. Petersburg, Florida
Worldwide rights: © Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.
In the USA: ©Salvador Dalí Museum Inc. St. Petersburg, Florida, 2016.

 

 

 

 
Sep2016_DaliTokio_img4『テトゥアンの大会戦』1962年
※ 東京会場のみの展示となります
 
14歳の時に見たマリアノ・フォルトゥニー作《テトゥアンの大会戦》(1863-65年)を長年心に留めていたダリは、タイム誌でアラブの騎馬戦の写真を目にし、スペインのモロッコ進軍という歴史的テーマに取り組むことを決意した。歴史画の伝統に倣った大画面の中央にはダリとガラの顔が挿入されている。また極端に細長くなった足やガラの面影を残す聖母像など、ダリ作品に登場してきたモチーフが圧倒的な存在感を放っている。ダリは母国スペインの歴史的な戦いに自らの芸術上の格闘を重ねている。
 
304.0 × 396.0 cm カンヴァスに油彩 諸橋近代美術館蔵
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.

 

 
Sep2016_DaliTokio_img5『ポルト・リガトの聖母』1950年
※ 東京会場のみの展示となります
 
第二次世界大戦後、古典主義に立ち戻ったダリは、ポルト・リガトの海を背景に神話の女神や聖母マリアを中心に据えた作品を制作した。
最愛の妻ガラをモデルとした本作はその代表的な作例である。祈りを捧げる聖母マリアと幼子イエスの上半身には四角い開口部があり、それは天国に通じるドアを意味する。聖櫃に片足をかけて宙に舞うマリア像や4つに分解された聖堂の描写には、分裂した粒子が浮遊して一定の距離を保つという原子物理学の理論が反映されている。

 
275.3 × 209.8 cm カンヴァスに油彩 福岡市美術館蔵
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.

 

 

 
Sep2016_DaliTokio_img6『記憶の固執 (ピン) 』1949年
 
7.0 × 6.0 × 1.5cm 金、ダイヤモンド サルバドール・ダリ美術館蔵
Collection of the Salvador Dalí Museum, St. Petersburg, Florida
Worldwide rights: © Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí,
JASPAR, Japan, 2016.
In the USA: ©Salvador Dalí Museum Inc. St. Petersburg, Florida, 2016.

 

 

 

 

 
Youtube:oricon / さまぁ~ず・高畑充希らがダリに!「ダリ展にGO」CM
 

 

ダリ展

会期:2016年9月14日(水)〜12月12日(月) / 毎週火曜日休館
開館時間:10:00〜18:00 / 毎週金曜は20:00まで / 10月21・22日は22:00まで
     (入場は閉館30分前まで)
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
展示会に関する問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
 
観覧料(税込)
一般:当日1,600円 / 前売り・団体1,400円
大学生:当日1,200円 / 前売り・団体1,000円
高校生:当日800円 / 前売り・団体 600円
※ 団体は20名以上 / 中学生以下は無料 / 障害者手帳をお持ちの方と付添の方1名は無料
※ 9月17日(土)、18日(日)、19日(月・祝)は高校生無料観覧日(学生証の提示必須)
 
チケット販売所
国立新美術館チケット窓口(開館日のみ)
国立新美術館 ダリ展オンラインチケット
チケットぴあ
(セブン・イレブン、サークルK、サンクス、チケットぴあ店舗にて[Pコード:767-427])
ローソンチケット[Lコード:32494]
セブンチケット [セブン-イレブン店内設置の『マルチコピー機』より]
イープラス(ファミリーマート)
JTBエンタメチケット(JTB各支店・JTB総合提携店)
 
主催:国立新美術館 / ガラ=サルバドール・ダリ財団 / サルバドール・ダリ美術館 / 国立ソフィア王妃芸術センター / 読売新聞社 / 日本テレビ放送網 / BS日テレ
共催:ぴあ / WOWOW
後援:スペイン大使館 / TOKYO FM
 
公式サイト:http://salvador-dali.jp
Facebook:https://www.facebook.com/Dali2016inKYOTO
Twitter:https://twitter.com/s_dali_2016

 
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