SATORI出版社が太宰治の「思い出」と泉鏡花の「竜潭譚」をスペイン語で出版

 

SATORI出版社が日本の2つの作品を新たにスペイン語で出版した。

 
ひとつは太宰治の「思い出」。

「思い出」は、作者が自分自身の人生を綴っていく自伝的な小説であり、7つの物語から構成されている。
この並外れた作家が、その苦悩に満ちた魂を惜しげもなくさらけ出し、彼の人生の核とも言える実存的苦しみを理解するための自叙伝的断片を与えてくれる。

所謂デカダン派の象徴である太宰は非順応主義の肖像ともなり、且つ荒れ果てた戦後日本の最も優れた代弁者となった。
多くの無条件的支持者に崇拝され、世代ごとに新たな読者は増えた。そのニヒルな姿勢、出来合いの価値観に対する激しい嫌悪や放蕩により、太宰は1930年~1940年代における日本の文壇のアンファン・テリブルとなった。

ヨーコ・オギハラとフェルナンド・コルドベスの翻訳によりSATORIが今回出版する「思い出」は、日本文学教授カルロス・ルビオによる広範な紹介文を含んでおり、20世紀の最も賞賛された作家の一人である太宰の人生と作品についてコメントしている。

スペインで出版された太宰の作品の中では、「人間失格 (Sajalín, 2010)」、「斜陽 (Txalaparta, 2011)」、「女生徒 (Impedimenta, 2013)」、及び「お伽草子 (Satori, 2013)」が特筆される。
「お伽草子」は、日本のもっとも著名な4つのお話に太宰が個人的な解釈を施したものであるが、挑発的でウイットに富んだ風刺が特徴的である。

“Recuerdos” de Dazai Osamu思い出 (Recuerdos)


作者:太宰 治

ヨーコ・オギハラ、フェルナンド・コルドベスによる翻訳
コレクション:Maestros de la literatura japonesa
256ページ / 19ユーロ
135x210mm
ISBN : 978-84-942390-8-3

 

 

 

 

 
もうひとつの本は、日本の最も優れた怪奇的伝統の後継者である泉鏡花の作品「竜潭譚(りゅうたんだん)」だ。

お天気のよいある夏の午後、「竜潭譚」の小さな主人公は年配者の忠告を無視して村の奥に入りこむ。風変わりで美しい虫に刺されたことから不可思議で未知なる世界への扉が開き、このいたずらは悪夢に変わって行く。

泉鏡花は川端康成、三島由紀夫など20世紀の最も著名な日本作家から崇拝された作家であり、その作品は溝口健二、市川崑などの巨匠によって何度も映画化されている。

“Sobre el dragón del abismo” de Izumi Kyoka竜潭譚 (Sobre el dragón del abismo)


作者:泉 鏡花

コレクション:Maestros de la literatura japonesa
208ページ / 19ユーロ
135x210mm
ISBN : 978-84-942390-9-0

 

 

 

 

 

 
SATORI出版社 : http://satoriediciones.com