【終了】ユネスコ無形文化遺産『文楽』講演会&デモンストレーション
ユネスコ無形文化遺産に指定された日本の伝統芸能『人形浄瑠璃文楽』講演会&デモンストレーションが、3月5日(日) マドリードのMatadero Madrid内のCasa del Lectorにて、3月6日(月) サラマンカのCentro Cultural Hispano Japones (Universidad de Salamanca) にて開催される。
人形浄瑠璃文楽は、日本を代表する伝統芸能のひとつで、太夫・三味線・人形が一体となった総合芸術である。微妙な動きや心情までも表現し、生身の人間以上に訴えかけるものを持っている、世界でも例をみない伝統芸能である。
その成り立ちは江戸時代初期にさかのぼり、古くはあやつり人形、そののち人形浄瑠璃と呼ばれている。
竹本義太夫の義太夫節と近松門左衛門の作品により、人形浄瑠璃は大人気を得て全盛期を迎え、竹本座が創設。後に、豊竹座をはじめいくつかの人形浄瑠璃座が盛衰を繰り返し、幕末、淡路の植村文楽軒が大阪ではじめた一座が最も有力で中心的な存在となり、やがて「文楽」が人形浄瑠璃の代名詞となり今日に至る。
そして人形浄瑠璃文楽は、2008年 (平成20年) にユネスコ「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に記載された。(文楽協会)
人形は三人の人形遣いによって操られる。人形の首と右手を操る主遣い(おもづかい)、左手を操る左遣い(ひだりづかい)、両足を操る足遣い(あしづかい) がそれぞれ操作する。
今回マドリードで行われる講演会&デモンストレーションでは、3代目 桐竹勘十郎 (きりたけ かんじゅうろう)、吉田簑紫郎 (よしだ みのしろう)、桐竹勘次郎 (きりたけ かんじろう)の人形遣いの3名が、日本の伝統芸能の奥深さと繊細さをスペインに伝える。
デモンストレーションでの演目は『艶容女舞衣 (はですがた おんな まいぎぬ)』。
安永元年 (1773年)、大阪で初演された歌舞伎と人形浄瑠璃の演目。元禄時代に実際にあった茜屋半七と遊女美濃屋三勝の心中事件を題材にしたものである。
大阪上塩町の酒屋「茜屋」の息子半七は妻お園のある身ながら女舞芝居の芸人美濃屋三勝と恋仲になり、お通という子までもうけ家には帰らない。しかも三勝をめぐる鞘当てがもとで、今市善右衛門を殺害してしまう。半七の父半兵衛は申訳のために町役人に縄目をかけてもらい心を痛めて帰宅すると、丁稚が捨て子を連れてくる。半兵衛とお幸夫婦は引き取る。
今日も帰ってこない半七を思い、お園が有名な《クドキ》を演じて苦しい胸の内を語る。
今頃は半七様どこにどうしてござらうぞ。
(今頃半七さんはどこでどうしているのか。)
今更返らぬことながら、私といふ者ないならば、舅御様もお通に免じ、子までなしたる三勝殿を、とくにも呼び入れさしやんしたら、半七様の身持も直り御勘当もあるまいに、思へば思えばこの園が、去年の秋の煩ひに、いつそ死んでしまうたら、かうした難儀は出来まいもの。
(今更言ってもどうしようもないけど、私さえいなかったら、お義父様もお通に免じて、子供を産んでくれた三勝さんを、このお家にお迎えくださったのなら、半七さんも身持ちが固くなり勘当もとけるでしょうに、思えば私が去年の秋に病気した時、いっそ死んでしまっていたら、こんな難儀なことにもならなかったでしょうに。)
お気に入らぬと知りながら、未練な私が輪廻ゆゑ。
(気に入られていないこととは知りながら、私が未練をもってしまったばかりに。)
添ひ臥しは叶はずともお傍にゐたいと辛抱して、これまでゐたのがお身の仇。
(添い寝することは叶わなかったけど、それでもお側にいたいと辛抱して、これまでいたのがあだとなっしまった。)
今の思ひにくらぶれば、一年前にこの園が死ぬる心がエエマつかなんだ。
(今の思いに比べれば、一年前に私が死んだらよかったのに。)
堪へてたべ半七様、私やこのやうに思うてゐる。
(ごめんなさい半七さん、私はこのように思っています。)
そして、捨て子の懐の書き置きから、半七と三勝の子 お通だとわかる。書き置きには善右衛門殺しのため、三勝と心中することと別れの言葉が書かれていた。
半七と三勝は死出の旅に出る。入れ違いに来た役人が善右衛門が大盗賊であったこと、ゆえに半七の罪は放免となることを告げて半兵衛の縄を解く。半兵衛は急ぎ二人の後を追う。
マドリード
日時:2017年3月5日 (日) 18:00〜
会場:Casa del Lector (Matadero Madrid)
住所:Paseo de la Chopera, 14. 28045 Madrid
入場無料。座席数に限りあり。
サラマンカ
日時:2017年3月6日 (月) 19:30〜
会場:Centro Cultural Hispano Japonés (Universidad de Salamanca)
住所:Plaza de San Boal, 13, 37002 Salamanca
講演会:45〜60分
演目「艶容女舞衣」デモンストレーション:15分
情報元・画像:国際交流基金マドリード日本文化センター