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フィルモテカ・エスパニョーラと国際交流基金主催による、現代の日本映画を代表する監督『鈴木清順 追悼映画シリーズ』が、2018年1月4日から2月28日までマドリード Cine Doréにて開催。各映画は2回ずつ上映される。
 
クエンティン・タランティーノ、北野武、ウォン・カーウァイ、デイミアン・チャゼルなど、世界の名だたる監督たちからもリスペクトされ、惜しまれつつも昨年2017年2月に93歳で死去した、日本が誇る映画監督の一人であった鈴木清順監督。
意表をつく大胆なカットや斬新な色彩感覚などの独自の映像美は〈清順美学〉と呼ばれ、60年代から熱狂的ファンを生み続けた鈴木清順監督を偲び、『暗黒街の美女 (1958)』『肉体の門 (1964)』『けものの眠り (1960)』『東京流れ者 (1966)』『殺しの烙印 (1967)』『悲愁物語 (1977)』など〈清順美学〉に溢れた6本を上映。

 
暗黒街の美女 (Underworld Beauty)
2018年1月4日(木) 19:45h
2018年2月2日(金)
*暫定日

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ボスの身変りとなって三年間の刑務所生活を送った宮本は、地下水道にかくしておいたダイヤを手にすると、密輸事件でドジを踏み今はオデン屋台を引く弟分の三原にその宝石を渡そうとした。だが三原の妹亜紀子は、ボスの手下の通訳有田の情婦でボスは宮本のダイヤを奪おうと狙っていた。ダイヤを外国人密輸商と取引する日、ボスの策略を見破った三原は、宝石を飲み込み非常階段から落ちて死んだ。有田はその死体の腹を割り、そっとダイヤを盗み亜紀子と遊び歩いていたが、何とか彼女を堅気にもどそうとする宮本の耳に入り、またボスと宮本と有田の争いが再現。だがダイヤは亜紀子の手でマネキン人形の胸に隠され、ある洋装店のウィンドに陳列されていた。宮本は配達夫に化けてこれを奪ったが、ボスと有田は亜紀子を人質に宮本をおびきよせ、ここに拳銃火を吐く乱闘が繰り広げられた。ダイヤを手にした有田はボスに殺され、宮本と亜紀子はボイラー室に追いつめられ、むし殺されそうになる。その時警官隊が建物を囲み、追われてボイラー室に入ったボスは宮本に殺されるが、その時ダイヤも火と燃える石炭の中にころげ落ちて行った。危いところを救われた宮本と亜紀子は正しく生きることを刑事に誓った。
1958年 / モノクロ / 87分

 
けものの眠り (The Sleeping Beast Within)
2018年1月10日(水) 20:00h
2018年2月15日(木)
*暫定日

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人間の心に潜む悪魔が、ちょっとしたつまづきから意外な運命を展開する凄まじさとそれを追う敏腕記者の姿を描くスリラー活劇篇
香港からブルー・クリッパー号で帰国した植木順平は、停年退職金三百万円を懐に謎の失踪を遂げ、妻のひさと娘の啓子は驚き、啓子は恋人の社会部記者・正太郎に打ち明けた。植木家にバー・エメラルドのあけみという女給から順平の指輪を預っているという電話があった。正太郎と啓子がかけつけた時、順平のつれだったという男が来店、尾行すると男は弘子という女給と旅館に泊ったが心中を図って死んだ。弘子は助った。二人は男が佐藤といい、クリッパー号の船員王の友人だったことを確めた。王を探しに横浜に飛ぶ寸前、順平は突然帰宅し、入港した船に雑貨を売る横浜の港栄商会に新しく就職したと告げたが、それ以上の質問は許さなかった。ある日、横浜支局の堀部から、王らしい男が殺されたと知らせて来た。訪れた正太郎は、佐藤の家と同じ日輪教の異様な祈りを聞いて愕然とした。佐藤と王は日輪教で結ばれている!王の妻が見せた写真には真木という男がいたが、真木はへロイン密輪容疑で逮捕され、自殺した。エメラルドのあけみが言った、順平とあの晩同行したという右手に傷のある男が、偶然当局の追跡をうけた。しかし、十国峠でその男小松は追跡者を全員射殺した。正太郎は順平が香港から麻薬を運び、その薬をめぐって佐藤と王は殺されたこと、港栄商会は麻薬団の巣であることを察知して啓子に告げた。正太郎は弘子のアパートを探し出し巧妙に犯罪を告白させ、録音テープに取った。これを知った順平は箱根にある日輪教本部に向った。正太郎達が本部に到着した時、豪壮な建物が大爆発を起して吹っ飛んだ。順平は生き残った小松を射ち倒すと、今はこれまでと、正太郎と啓子の手をふりもぎって自ら火焔の中に飛びこんだ。啓子は正太郎の腕の中で泣いた。
1960年 / モノクロ / 75分

 
殺しの烙印 (Branded to Kill)
2018年1月11日(木) 17:30h
2018年1月28日(日) 20:00h


Youtube:Arrow Video / Branded to Kill Original Trailer (Seijun Suzuki, 1967) Arrow Video

アクションのエース・宍戸錠が“失敗は死”という殺し屋の宿命を背負いながら、No.1の地位に意欲をみせるハード・ボイルドアクション!
プロの殺し屋NO.3にランクされている花田五郎(宍戸錠)は組織の幹部を護送する途中、NO.2とNO.4たちの一味に襲撃される。危うく危機を脱した花田は、ある日、薮原(玉川伊佐男)から殺しの依頼を受ける。順調に依頼どおり殺していくが、最後のひとりだけ失敗してしまう。失敗を許さない組織は美沙子(真理アンヌ)という女を差し向けてきた・・・。ナンバーワンの座をめぐって死闘を繰り広げる殺し屋たちの姿をスリリングかつスタイリッシュに描いた異色作。
1967年 / モノクロ / 91分

 
肉体の門 (Gate of Flesh)
2018年1月21日(日) 22:30h
2018年2月17日(土)
*暫定日


Youtube:YouTube ムービー / 肉体の門

敗戦に虚脱し疲れきった男たちの間に、毒々しい悪夢の花を咲かせる女たち。十七歳のマヤが、関東小政のおせんのグループに仲間入りしたのも、たった一人の兄をボルネオで亡くし外国兵に肌を奪われてからだ。焼ビルの地下には、ジープのお美乃、ふうてんお六、町子と、皆暗い過去を背負った女たちがたむろしていた。今日も闇市では、仲間の掟を破った夜の女が激しいリンチをうけていた。彼女らの中には、よその女に縄張りを荒させない、ただで男と寝ないという掟が生きていた。一方関東小政の刺青をもつおせんは、進駐軍の兵隊を半殺しにした復員姿の新太郎を助けた。すさんだ生活をしていても小政たちもやはり女だ。たくましい男を見て彼女らの中に愛に似た感情が湧いて来た。そんな時、町子が小笠原というなじみの客と結婚を約束して代償なしに身体を与えていることがバレてしまった。怒り狂った小政、マヤらは地下室に町子を宙吊りにするとリンチを加えた。途中、新太郎にさえぎられたものの、すさまじいリンチはマヤの身体に忘れていた女の生理をよみがえらせた。そして新太郎に強烈にひきつけられていった。一方新太郎は進駐軍のペニシリンをもっていた。小政の口ききで新太郎は阿部と兄貴分の石井にそれを売り莫大なお金を受けとった。祝い酒に酔った新太郎は、焼跡に絡がれた牛を地下室にひっぱって来ると久しぶりの牛肉にありつき乱痴気さわぎがつづいた。飲み食い、ひもじさから解放されたマヤは、新太郎を廃船につれこむと愛撫を求めた。彼も激情にかられマヤを抱くと「新しい生活へのスタートをきろうと約束した」しかし、かげでこれを聞いた小政はマヤに激しいリンチを加えるのだった。けれど希望に満ちたマヤの瞳は美しかった。一方、新太郎は小政にペニシリンがインチキだと密告され、石井らの一団とMP、警官に追われた。新太郎は必死に逃げたが、MPの弾丸が容赦なく新太郎の身体に食いこんでいった。何も知らないマヤは新太郎の約束の場所に急いでゆくのだった。
1964年 / カラー / 90分

 
東京流れ者 (Tokyo Drifter)
2018年1月30日(火) 19:45h
2018年2月24日(土)
*暫定日


Youtube:YouTube ムービー / 東京流れ者

流れ者シリーズ第1弾。ボスに裏切られ“流れ者”となった男の復讐劇を、鈴木清順監督がミュージカル風に描いた異色のやくざ映画
流れ者の歌をくちづさむ本堂哲也を、数名の黒い影が襲った。哲也の属する倉田組がヤクザ稼業から不動産業に転じたことを根にもつ大塚組は、喧嘩を売ろうと挑発したが、哲也は絶対無抵抗主義の倉田の厳命を守り抜き、得意の拳銃を抜かなかった。哲也は恋仲の歌手・千春と結婚し、ヤクザを辞める決心をしていた。しかし、倉田組と敵対する大塚組からの執拗な攻撃と、それが自分の恋人にまで及んだことを知ったとき、哲也の怒りが炸裂する・・・。
1966年 / カラー / 83分

 
悲愁物語 (A Tale of Sorrow and Sadness)
2018年1月24日(水)
2018年2月6日(火)
*暫定日


Youtube:松竹チャンネル/SHOCHIKUch / 鈴木清順監督作品『悲愁物語』あの頃映画松竹DVDコレクション

女子体操競技で世界中を熱狂させたチェブルスカをライバル社の極東レーヨンにさらわれた日栄レーヨン社長の井上は、対抗馬のタレント発見を急ぐよう命令する。企画室長の森や広告代理店の田所は、若くてプロポーション抜群のプロゴルファー・桜庭れい子の起用を決定。れい子をまずなんと言っても、女子プロゴルフ界のチャンピオンにしなければと、雑誌「パワーゴルフ」の編集長でれい子の恋人でもある三宅に特訓をたのむ。れい子のハード・トレーニングが昼夜続き、れい子はその特訓に耐え、全日本女子プロゴルフ選手権に優勝。れい子の人気は、爆発し、日栄レーヨンのポスターは店頭からまたたくまになくなった。れい子は、日栄レーヨンと専属タレント契約を結び、五千万円を手にする。れい子は、弟といっしょに郊外に大邸宅を構え、テレビのホステスにも起用された。しかし、れい子の家の近所の主婦たちの憧れは、しだいにドス黒い嫉妬へと変っていった。多忙なれい子の唯一の心のやすらぎは、三宅の胸に抱かれている時だけであった。そんなある日、三宅とれい子の乗った車に近所の主婦、仙波加世ははねられてしまった。実は、れい子に嫉妬した加世が自分から車に飛び込んだのだが、二人はそうとは知らずその場を逃げてしまった。罪の意識におののくれい子の前に加世が現れ、彼女は大スターであるれい子の弱味をにぎったせいか、それ以来、れい子をメイドのように酷使した。あろうことかそのうえ、加世はれい子に自分の亭主に抱かれることを命じた。それを知ったれい子の弟・純の怒りが爆発した。純のナイフが、加世の背中から胸を貫いた。そして、寝室にとびこんだ純は、血まみれのナイフをれい子の乳房に突き刺した。れい子の美しい死顔には、何故かやすらぎが漂っていた。
1977年 / カラー / 93分

 

鈴木清順監督 映画シリーズ

開催期間:2018年1月4日〜2月28日
会場:Cine Doré
住所:Calle de Santa Isabel, 3, 28012 Madrid
 
入場料:2,50€ / 学生 2€
 
主催:Filmoteca Española / 国際交流基金マドリード日本文化センター