「写真が語るとき・・・ 記憶とフラメンコ」 アンダルシアの写真家、アントニオ・ペレス
7月30日から8月3日迄、キッド・アイラック・アート・ホール(東京都世田谷区)にて、アントニオ・ペレス氏にとって日本で2度目の写真展となる「写真が語るとき・・・記憶とフラメンコ」を終えたばかりの同氏に、展示会の様子を聞いた。
ー この「写真が語るとき・・・記憶とフラメンコ」写真展で来場者に伝えたかったことはなんでしょうか。
これは二枚のイメージを組み合わせるプロジェクトです。フラメンコのアーティスト達を彼らの人生や記憶を代表する写真や、過去の特別な瞬間を表現したイメージと組み合わせる事で、新たな視点を与えるものです。組み合わせた写真にはアーティスト自身が写っていることもあれば、そうでない事もあります。
アーティストのもう一枚の写真を加えることによって、作品は拡がりを持ちます。もう一枚の写真は、アーティストのより日常的な、練習風景や講習の場面や、プライベートなパーティでの一画面のような、より個人的で人間的な写真であり、アーティストに対して我々が持っている先入観や静止感から遠ざかることを狙っています。
言って見れば、フラメンコの創造者自身と彼らの日常から、フラメンコの視覚的な記憶を探るようなものですね。
ー 来場者の皆さんの反応はいかがでしたか。期待通りのことを達成出来たと思われますか。
来場者の皆さんはとても親密かつフレンドリーで、理解が深く礼儀正しい人達ばかりでした。私の作品であるのに、私自身が気付かなかったことを教えてくれた方もいらっしゃいました。来場者の皆さんが写真展を楽しんでおられるのを目の当たりにし、質疑応答も出来たのはとても幸せでしたね。写真展の会場になったキッド・アイラック・アート・ホールも大変ポジティブな影響を与えてくれたと思います。広くて天井の高い2階に渡るホールだったので、作品の製作過程の「メイキング・オフ」も映写することが出来ました。
写真展と同時にフラメンコライブも何度か行いました。歌い手の「エル・プラテアオ」、ギタリストの小林亮と久保守、踊り手の萩原淳子「ラ・ジュンコ」の他、12人のプロの踊り手と「ラ・ジュンコ」の下でフラメンコの舞踏を勉強している6人の生徒さんも参加してくれました。
今回の写真展を通じて、期待していたことを達成出来たのではないかと思いますね。この仕事を更に大きくし、もっと多くの皆さんと共有したいと感じさせてくれました。
ー フラメンコは日本でとても人気がありますね。その日本でフラメンコに関連した写真展を開催されるのはどのような経験でしたか。
今回は私にとって東京での二度目の写真展でした。
一回目はスペイン舞踏振興を行っているMARUWA財団にて、セビリア県のレブリハのお祭りである「ラス・クルセス・デ・レブリハ」に関する写真展を開催し、街の様子がフィエスタの間にどのように変わって行くのかを表現しました。展示会を終えた今、このようなプロジェクトの推進を続け、日本とスペインの間にシナジーを創造し続けたいと感じています。
ー 日本に滞在されるのは、アントニオさんにとってどのような経験と言えますか。
私の家内は日本人であることもあって、日本には昔から何度も来ていますし、日本人と結婚していることで特別な経験を共有させて貰っていると思います。
ー 今後はどのような案件を進めていかれますか。
9月にはアンダルシアに戻る予定ですが、それまでは日本に滞在して3年前から進めているプロジェクトを推進します。それは鳥取砂丘に関したもので、その不思議な空間で、写真家植田正治氏の作品を研究しています。勿論その間日本をもっと楽しみますよ。
スペイン人写真家 アントニオ・ペレス
受賞歴
2011:“Mare Nostrum Awards” 国際ジャーナリズム賞
2010:国際写真賞「Sobre la violencia 2010」(バレンシア国際大学)
2009:2009年イベロアメリカ賞 (ボリビア、国際協力)
2007:アンダルシア賞「Migraciones 2006」(アンダルシア州政府)
展示会会場:キッド・アイラック・アート・ホール
〒156-0043 東京都世田谷区松原2-43-11
TEL. 03-3322-5564 / FAX. 03-3322-5676
http://www.kidailack.co.jp/