【終了】「世界のドン・キホーテ」展、日本語で味わうセルバンテスの世界
マドリードのセルバンテス文化センターにて、8月2日まで「世界のドン・キホーテ」展開催。
この展示会は、世界60ヶ所にあるセルバンテス協会の図書コレクションに属する、56ヶ国語に翻訳された185版「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」を一堂に集めた大規模なもの。
「ドン・キホーテ」はスペインの文学作品の中でも、400年以上にわたり世界で最も出版されている作品の一つで、今回のイベントではセルバンテスによる本作品とその翻訳者たちの存在を讃えている。
また触覚のコーナーでは、120ページ、17巻からなるブライレ版による同作品の完全版に触れることもできる。
この展示会が日本文化と関係する部分としては、筑摩書房が出版した1970年版の会田由の訳による日本語版「ドン・キホーテ」を見る事ができるほか、30名のナレーターが各人の母国語によってこの作品の一部を朗読しているビデオ上映のコーナーでは、国際交流基金マドリード日本文化センターの宮島知氏による、同作品後編に含まれる「La defensa de poesía」の下記部分の朗読を楽しむことができる。
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さて、尊公は、ご子息がロマンセ語の詩をさほど尊重なさらんと申されたが、これは大いに的をはずれておいでなさると拙者は思いますわい。その理由はこれでござる。詩聖ホメロスは詩をラテン語で書かなかったが、それはギリシャ人だったからで、ヴィルギリウスはギリシャ語では書かなかったが、それは彼がローマ人だったからでござる。つまり、古代の詩人たちはいずれも、母親の乳とともに覚えた言葉で詩を書いたのであって、おのれの思想の高さを吹聴しようと外国語を借りにゆくことはなかったのじゃ。かような次第で、この風習があらゆる国々にまでひろがることも、ドイツの詩人がその国の言葉で書いたからといって、カスティーリャの詩人どころかビスカヤの詩人がその国の言葉で書いたところで、さげすまれないと言うのが道理でござろう。
セルバンテス作、会田由訳『世界文学大系11・ドン・キホーテ後編』より引用。
筑摩書房により1962年初版発行
「世界のドン・キホーテ」展 (Quijotes por el mundo)
開催日時:2015年4月21日〜8月2日まで
開催時間:16:00~21:00(火~金)
11:00~21:00(土)
11:00~16:00(日)
会場:セルバンテス文化センター内 展示室
(Instituto Cervantes – Sala de Exposiciones)
住所:c/ Alcalá, 49, 28014 Madrid