【終了】マツオカヒロ個展「Poetry」
ドイツ・ケルン在住の日本人写真家マツオカヒロの作品は日常の演劇表現である。
彼の撮る白黒写真はスナップ写真であるにも関わらず、小説や劇作品とのつながりを連想させる。モンタージュやデジタル画像処理の技術を用いずに、驚くべきイマジネーションの視点から世界を映し出す。
学生時代に彼が書いた文学研究論文の中で、マツオカは視覚的解釈に対し無限の興味を示していた。「劇作品は、その制作段階において視覚的にどのように変化していくのか」に関してである。
彼の作品の特徴は、現実世界に存在している光の利用、作り込まれた構図、ぼかしや反射を利用した遊び心である。その結果、その作品には彼特有のムードが作り出され、写真家としての独自の様式を生み出している。
彼は、断片的でオーソドックスとも言える構図を用い、宣伝ポスターや電光掲示板、ショーウインドーなど、都会の日常生活においてありきたりなものに関心を向けた。
彼の写真はドキュメンタリーでも偶然撮影されたものでもなく、意識的に切り取った日常生活の断片を映し出す。一見すると芝居じみて見えるが、日々の生活の至る所に隠れているかのような、様々なイメージを想起させるのだ。
彼のある作品には、中央に何もない空間があり、写真に写る人々は構図の隅に追いやられている。彼らの顔は影に覆われていてぼんやりとして見え、太陽の光に溶け、判別できないこともある。このようなぼんやりとした姿は彼らの思考と現実の外見との間で揺れ動いているようにみえる。
アーティストはカメラの前に、故意に理想的な状況を構築する必要性を感じていない。それよりも、彼の視点を通じて目の前のイメージをとらえることを好むのである。
マツオカヒロの写真は中判のアナログカメラで撮影され、アーティスト自身がその現像も行っている。マツオカヒロ個展「Poetry」は、バルセロナのエステル・モントリオル・ギャラリーにて、5月6日まで開催中。
マツオカヒロ個展「Poetry」 / Exposición Hiro Matsuoka “Poetry”
日時:2016年5月6日まで開催中
火~金:11:00~14:00、17:00~20:30
会場:galeria esther montoriol
住所:Carrer de la Diputació, 339, 08009 Barcelona
TEL:932 448 521
入場無料
esther montoriol ギャラリー
公式サイト:www.montoriol.com
Facebook:https://www.facebook.com/galeriaesthermontoriol/
マツオカヒロ公式サイト:www.hiromatsuoka.com